2016年1月30日、埼玉県鴻巣市の協力のもと、ひきこもり支援相談士による、ひきこもり・不登校について理解を深めるための講演会が行われました。
講師は、HMV渋谷店のカリスマバイヤーを経て、R&Bプロデューサーとして活躍中の西崎信太郎氏。
現在は、ひきこもり支援相談士としてご自身の体験から音楽の可能性を伝える活動もされています。
当会理事の齋藤がコーディネーターとして全面参画したこともあり、この講演会を「社会問題の解決に音楽の力を生かす活動」ととらえ、日本アーティスト協会は後援という形でサポートしました。
今回はこの講演会の模様をお伝えします。
左から、齋藤、西崎氏
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本講演は音楽ディレクター/ プロデューサーの西崎信太郎氏が自身の経験を語る、引きこも り支援のための講演会である。『~ひきこもり・不登校支援相談~「好きなことをして生きる」を考える』と題された1時間の講演は、高校と専門学校を中退し、その後4年間引きこもりを経験した西崎氏の、包み隠さぬ思いと言葉で満ちていた。
会場はJR吹上駅から程近い、鴻巣市吹上生涯学習センター。市民活動の様々な取り組みができる充実の施設で、この日も同施設内の別エリアで保育、音楽、親子体験などの催しがされていた。
会場はJR吹上駅から程近い、鴻巣市吹上生涯学習センター。市民活動の様々な取り組みができる充実の施設で、この日も同施設内の別エリアで保育、音楽、親子体験などの催しがされていた。
西崎氏の地元ということもあり、開講の30分前から受講者が集まり始め、始まる頃には机が追加で用意されるなど、注目度の高さを目の当たりにした。
いよいよ開講。自己紹介もほどほどに、「マンボウの生態を知っていますか?」と虚をついた問いかけから始まる。
実は、巷で噂されていたいわゆる「マンボウ最弱伝説」を話題にして講演を進めようと準備していたところ、これが作り話だったと前日判明し、冒頭のネタが無くなってしまったのだというエピソードを披露。
マンボウの滑稽さを自身に投影したのかは定かではないが、早くも笑いや受講者同士の会話が生まれた。
アイスブレイクは成功のようだ。
本題に入ると、柔和な表情と言葉遣いで、自身の経験を語り始める。
引きこもっていた頃も、講演会を行う今も、変わらないコンプレックスがあるという。
・自分の意見が言えない
・自信が無い
・他人の目が気になる
これらを解決することは難しいが、気にならない状態になることはできるかもしれない。
そのための最善の方法が「好きなことをする」ことだという。
受講者のペンが走る。
すぐに結果は出ないし、最初は自分のことだけ考えていればいい。
しかし、好きなことをやっていると、自分の生き方が人に夢を与えていることに気づく。
自分を必要としてくれる人が現れたり、多くの人から感謝されるようになる。
知らぬ間に自発的になっていたこと、自分の本質は変わっていなくても実現できたことが自信につながったことなど、話が進むにつれて、受講者のうなづく様子が頻繁に見られた。
ここから、バスケットボール好きな西崎氏の憧れでもあるマイケル・ジョーダンのキャリア、現在手掛けているプロジェクトを通じて知ったキューバの国民性の例などを用いて、働き方、お金、幸福度など、多様な目線へと講演が展開していく。
「好きなこと」を通じて多角的な目線があることに気がつき、「みんなと同じようにできなければいけない」という概念から解放されたのだという。
そして、「引きこもりはいけないことだと思う必要はない」「好きなことをやれば、誰かの世界観を変える可能性さえある。」と締めくくる。
受講者からすれば、きれいごとではなく、今目の前にいる人の体験を聞いた上で受け取るメッセージだ。
これほど背中を押される言葉が他にあるだろうか。
興味深かったのは、終盤で挿入された簡単なワーク。
手元の紙に「もっともやりたくないこと」を書く。
好きなことの中に、少しだけやりたくないことが含まれていることがある、という気づきを与えるためのものだ。
・海外に行きたいが、飛行機に乗りたくない
・海外アーティストと仕事をしたいが、英語のメールのやり取りが苦手
などの例を挙げて説明した。
普段は回避して当然と思っていても、好きなことをやるためなら、頑張ってみようか、という気になるかもしれない。苦手だけれど、少しづつやるようになる。
これこそ、「好きなことをする」ことの意味だというのだ。
また、今回の講演会のきっかけが、自身の手がける「Urban NEXT」というコンピレーションCDシリーズと関係していることにも言及。
今回の講演会のコーディネートを行った齋藤氏は、DJとしての顔も持っており、西崎氏の作品を共作した人物なのだ。
これには会場からどよめきと拍手が起こる。
まさに自分たちが参加したこの空間こそが、「好きなことをして生きる」西崎氏と齋藤氏の交差点だったのだ。
こうして講演会は大盛況のうちに幕を閉じる。
その後、1時間近く参加者と触れ合う西崎氏の姿があった。
遠方からも教育関係者が足を運んでいたこともあり、西崎氏の活動にさらなる飛躍が期待されている。
また、齋藤氏はNPO法人日本アーティスト協会の理事もつとめており、西崎氏のような社会性のある音楽関係者のサポートをはじめ、音楽の社会的な活用方法について積極的に発信していくとのこと。
次回は3/27(日)、場所は同じく吹上生涯学習センター内で開催予定。
その他、講演会の依頼やお問合せは、西崎氏のホームページ、日本アーティスト協会事務局メールまで。
次回は3/27(日)、場所は同じく吹上生涯学習センター内で開催予定。
その他、講演会の依頼やお問合せは、西崎氏のホームページ、日本アーティスト協会事務局メールまで。
(文:Umami+)
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講師:西崎信太郎
「日本にR&Bを根付かせる」をテーマに活動するR&Bプロデューサー/ディレクター/ライター/イベントオーガナイザー。
世界中の新たな才能を発掘すべく年間40タイトル以上の作品に携わり、itunesチャートでNo. 1ヒットのコンピレーション作品も手がける。
スティーヴィー・ホアン、エレクトリック・エンパイア、ジェフ・バーナット、ジェレミー・パッション、ワン・チャンスなど、大ヒットを記録したR&Bアーティスト達を続々と日本でデビューさせている。
●鴻巣NEWS
鴻巣の「ひと」①~引きこもりを乗り越え、世界を相手にする音楽プロデューサーに~西崎信太郎さん
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<日本アーティスト協会 事務局>
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